2023年 抱負

年越しのちょっと前、曲を書きたいのに実家にいて書けないので、ブログを書きます。

2022年の振り返りと2023年の抱負を書きますよー

2022年は個人的に久しぶりに動きを感じた年でした。この2年停滞していたものが再び動き出す、そんな空気で、なんだか楽しい一年でした。

うちのサークルは3つのアルバムを出しましたよ。それぞれ振り返ってみます。

 

■Magoria(春例大祭

東方風自作曲の7thAlbumです。テーマは”おときばなし”で童謡的な懐かしさとわくわく感、不思議な感じを目指しました。あらゆるものに影響を受けて作ったアルバムですが、特に「フリップフラッパーズ(アニメ)」「プリパラ(アニメ)」「ゆらゆら帝国のめまい(音楽アルバム)」「Pet Sounds(音楽アルバム)」からの影響が大きいです。60年代の音楽潮流のひとつ、ソフトロックをこの1,2年ほど聴いていて、大好きなのでその影響が大きいアルバムになったと思います。プリパラはアイドルアニメなのであんま関係ないのですが、2曲目の「色惑うカルデアの夜」はプリパラの劇中曲に多大に影響を受けました。いやーいいアニメでした。

個人的一押し曲は「ファンタズマゴリア」「Magoria」です。今までで一番満足のいくアルバムに出来たと思っています。反省点があるとすれば、構成や雰囲気はとても良いんだけど、ひとつひとつの曲の魅力というのがもうちょっと前面に出た方がよかったかな~と。そんな感じ。反省点はありますが、大のお気に入り。ジャケットもいいよね。

 

■紅色の幻想郷 ~ 20th Scarlet Magic(コミックマーケット100)

紅魔郷のアレンジアルバムです。一番好きな原作が紅魔郷で、今年で20周年ということで作るしかないぞ!という意気込みで作りました。何気に東方アレンジアルバムを作るのは初めてだったんですよね(西方アレンジアルバムは作っていたけど......)。僕は自分がアレンジを書けない人間だと思っているので、普段はオリジナル(東方風)を書いているのですが、結果としてよいアルバムに出来たのかなと思います。聴いていて好きなのもありますし、アレンジ(二次創作)というのはその行為自体に意味があるのだな、ということがよくわかりました。

一押し曲は「ヴワル魔法図書館」「亡き王女の為のセプテット」です。前者はタイトなドラムスとレトロでキラキラ魔法的なストリングス、ピアノや鐘がいい感じ。原曲は不協和音が多く、転調も珍しいもので何も考えずに打ち込むと不自然になってしまうんですよね。不自然さを無くしつつ活かすのが難しく、楽しかったです。亡き王女の為のセプテットは構成や盛り上がりがうまいですね。音源の都合上16トラック(音色)しか使えなかったのですが、セプテット書くときは倍欲しくなりましたね。うん。そういう制限がある中で曲を書くのもゲーム音楽らしく、いい経験になったなー

 

■Mahoro Magic ~ えっちなのはいけないと思います!(紅楼夢

ゲスト参加者さんを募って作ったアルバム第三弾です。募集するときはいつも『今回は誰にも参加してもらえないかも』と考えてしまうのですが、ふたを開ければ30人もの方に参加してもらい、本当に感謝に絶えません。

回を増すごとに参加者さんが増えていて、なんでだろうと不思議なのですが、あんまり身内感を出さないようにしているので参加しやすいのかな、と自分では思っています。僕が人付き合いが苦手で、身内感というのも苦手なので、募集をする時はなるべくそういう匂いを無くすようにしてます。仲良くするでもなく、離れるでもなく、そういう距離感が心地よい。創作する人間は言葉を交わさなくても作ったものでコミュニケーションが成立すると信じています。あの人の作る曲すごいな、アルバム良いな、ストイックでカッコ良いな、尊敬しちゃうな。敢えて言葉を交わさなくてもそういう部分で会話しているつもりです。だって良い曲聴いたら自分も頑張りたくなるもんね!そういう意味でもこのアルバムは聴くと元気が出ます。嬉しくなります。

一押し曲は「Café Sunrise」「オーダーメイド・メイデン」本当にどの曲も好きなんですが、この2曲は特に好きです。前者は乾いてリアルなドラムやピアノなどのサウンド、後半の心地よい風を感じるような東方的なメロディが絶品。後者はもう、憧れちゃいますね。僕もこういう曲をいつか書いてみたいなと思うばかりです。

あと、今年の紅楼夢は本当に楽しかったですね。いつもはTwitter上で見ている人たちに実際に会って話をする、会話は苦手だけどやっぱり嬉しいです。遠出する楽しさも相まってとても良いイベントでした。

 

さて、次は今年聴いた音楽を振り返ってみます。特に刺さったアルバムたちはこれだ!

 

■星と月のソナタ(1995)/ ALI PROJECT

ALI PROJECTの3rdAlbum。今年一番大きな出会いだな、と思うのはローゼンメイデンALI PROJECTとの出会いです。ローゼンメイデンは本当に好きすぎて......今まで生きてきて一番刺さった漫画でした。ローゼンメイデンALI PROJECTは関係が深く、アニメのOPをすべて担当しているのもありますし、そもそもローゼンメイデン作者のPEACH-PIT先生はずっとALI PROJECTのファンで、漫画にも影響がそこかしこに見えます。

ALI PROJECTについては名前だけ朧げに知っている程度で、ローゼンメイデンのアニメを見てるときにOP曲が「やたら癖のある曲調だな......」と気になってアルバムを聴いてみたんです。そしたらもう、イチコロでした(笑)。弦やピアノを主体にしたクラシカルな音選び、幻想的夢想的な歌詞や音像、まさに幻想音楽と呼ぶに相応しいもので、僕の好みにドンピシャでした。なんで今まで聴いてなかったんだろうって感じ。2002年ごろのZUN曲やSound Horizonが好きな方は漏れなくアリプロも好きだと思います。

さてこちらのアルバムですが、冬をテーマにしたバラード集といういで立ち。1曲目の「雨のソナタ〜La Pluie〜 」イントロからもう、蕩けちゃいますね。深くリバーブの掛かった音とアリカさんのタメをふんだんに使ったボーカルが堪りません。このアルバムで一番好きな曲です。

一押し曲は「雨のソナタ〜La Pluie〜」「空宙舞踏会」「薔薇色翠星歌劇団

 

■Aristocracy(2001)/ ALI PROJECT

ALI PROJECTの5thAlbum。今年聴いた中で一番好きなアルバムです。妖艶でダークで耽美なゴシックロリータ音楽なアルバム。アリプロのヴォーカル宝野アリカさんは”アリス”が大好きだそうで、ALI PROJECTというグループ名もアリカさんの名前もそうですし、このアルバムタイトルもアリスを意識したものだと思われます。Aristocracyは貴族制という意味で、2曲目の「少女貴族」がタイトルチューンに当たる曲です。この曲はアップテンポでダークな曲調もそうですが、歌詞がとにかく好きです。

いまも地下牢の柩に眠る
遥か祖先 一族たちの
王に優る気高き血が
わたしの奥で叫んでいる

異端をはじきだす社会に
真実の美は生まれない
腐敗 汚染 低俗の民に
天は罰を与える

プライドを持って生きること。周りに流されず異端としてでも美しく、自分の持つ価値観に従って生きること。それを歌っている歌詞だと思います。僕も創作するうえで一番大事なのはプライド(自尊心・誇り)だと思っているので、すごく共感しちゃいます。

このアルバムで、というか今年聴いた音楽の中で一番好きなのが「un tableau blanc 〜絵画旅行〜」です。童話的、映画音楽的でどこか別の世界に連れて行ってくれるようなサウンド、メロディや和声の美しさ......聴くたびに涙が出ちゃいます。

一押し曲は「少女貴族」「コッペリアの柩」「閉ざされた画室」「un tableau blanc 〜絵画旅行〜」......というか全部(笑)

 

■Begin(1968)/ The Millennium

米国のバンド The Millennium の1stAlbum(というかこの一枚しか出してない)。ジャンルとしてはソフトロックになります。ソフトロックとは説明が難しいんですが、多重コーラス、弦楽器やチェンバロといったクラシカルな楽器、幻想的なギターの音を使った、柔らかで懐かしさもある幻想風味なロック、という感じかな。好きなジャンルで色々アルバムを漁ってみたのですが、特に刺さったのが「Pet Sounds」とこのアルバムでした。

とにかく音質が良いんです。というか、60年代のアルバムはどこれもこれも良い音なんですよね。時代によって音って全然違ってくるんですが、60年代のサウンドは大好物です。この時代には珍しい16トラックのレコーダーを使用したようで、古いアルバムにあるようなパン振りが左右に極端、みたいなこともなく今の時代に聴いても全く違和感なく聴けると思います。どの曲も幻想的でありながらしっかりと芯のあるサウンド、ロックに不可欠なユニークさ、コーラスの美しさが詰まったアルバムです。

1曲目の「Prelude」は曲名の通りアルバムのイントロに当たるインスト曲で、チェンバロの響きが印象的なナンバー。サーカスを想起させるような面白おかしさと勢いのある曲で、アウトロがそのまま2曲目のイントロに繋がるのがとても良いです。

一押し曲は「Prelude」「To Claudia On Thursday 」「5 A.M. 」

 

■物語のように(2022)/ 坂本慎太郎

坂本慎太郎の4thAlbum。坂本さんは元ゆらゆら帝国のギター/ヴォーカルで、2010年にゆらゆら帝国は解散しその後はソロでアルバムを発表しています。

3rdAlbumから6年ぶりのアルバムで、ゆらゆら帝国と坂本さんの音楽が大好きな僕は密かに新譜を楽しみにしてたのですが、今年にやっと出ました。嬉しい。今まで通りのメンバーとアナログ感を大事にしたサウンドなのですが、今回は特にひとつひとつのおとが”太い”感じ。よりロック感が出てるなぁって印象です。

坂本さんの書く歌詞は死に対する諦め(達観)と幼少期の記憶や懐かしさへの愛着、少年的な視点が特徴的で好きなんです。タイトルチューンでもある「物語のように」なんていうのはまさに子供の頃に読んだ物語をイメージするような愛らしさがあります。

物語のように 昔に戻ろうか
物語のように 恋をしようよ
物語のように あの日に帰ろうか
物語のような 君とぼく

初めての感情 寝るのも忘れて
ダメな妄想 頭を抱えて
ぼくはずっと ドキドキしている
それがなぜか わからぬまま

一押し曲は「まだ平気?」「悲しい用事」「スター」

 

■プリパラ☆ミュージックコレクション

プリパラの劇中曲のサントラ。プリパラはアーケードゲーム、プリティーシリーズの第二弾で2014年からアニメが放送されていました。それを今年に入って見始めたんです。いやー面白かった。いわゆる女児向けアニメなのですが、全く子供だましなどはなく話がしっかりしていて、狂気とも言われるような独特なユニークさ、キャラクターの可愛さに溢れた大人でも楽しめるアニメです。アイドルアニメなのですが、その人気も頷けるほど劇中の曲・ダンスとその作画(3D)のクオリティが高いです。このアニメにどれほど勇気とやる気をもらったことか......Magoriaはこのアニメを見ていなければ全然違ったものになったと思います。

特に好きな曲は「HAPPYぱLUCKY」「CHANGE! MY WORLD」「0(ゼロ)-week-old」「でび&えん☆Reversible- Ring」「アメイジング・キャッスル」「Mon chouchou」「シュガーレス×フレンド」

本当におすすめのアニメです。全部で151話ありますが一瞬で溶けますよ(笑)僕は今年の1月ですべて見終わってしまいました......笑

 

■結束バンド(2022)/ 結束バンド

結束バンドの1stAlbum。結束バンドは漫画(アニメ)「ぼっち・ざ・ろっく!」作中のキャラクター達のバンドで、このアルバムはアニメのOP・ED・劇中曲集になります。なんですが、アルバムタイトルからわかる通り、とてもコンセプチュアルに展開されていて、OP・ED・劇中曲集というよりひとつのバンドのアルバムとして聴くことができます。そこがもう、とにかく良いですね。漫画中のバンドが本当にこの世に存在しているような楽しさ。ひとつのコンセプトアルバムとして捉えられると思います。

「ぼっち・ざ・ろっく!」のアニメが愛に溢れた最高に面白いアニメであることはとりあえず置いといて、このアルバムの曲たちの話を。

曲としては全体的にポップ・ロックに仕上がっていますが、ゴリゴリにロックを感じさせるような「ラブソングが歌えない」「あのバンド」といったチューンもあります。ラブソングが歌えないなんて特にイントロが格好良いですねぇ。ヴォーカルは喜多ちゃんが主なのですが、ほかのメンバーが歌った歌もそれぞれあり、それがアルバムの”ツボ”ともいえる部分に配置されていて構成がうまいです。

どの曲も歌詞が秀逸で、ひとりちゃん目線の後ろ向きな歌詞なのですが、そこにシンパシーを感じられるのは原作と一緒でしょうか。

「悲しい歌ほど好きだった 優しい気持ちになれるから」自分の中にある悲しみを他人と重ねたときの喜び。相手に寄り添う優しさ。ネガティブさを否定するのではなく、それも個性なんだと肯定する、マイノリティーであることは悪いことなんかじゃない。素敵ですね。

歌詞が特に好きなのは「カラカラ」です。

カラカラ騒ぐ思考飛ばして
前借りしてるこの命を
使い切らなくちゃ今この瞬間も
ダラダラ過ぎる日も愛して
きっと君に会いに行く
いつか消えてしまう前に

生きるということはずっと続いていくようで、実は刹那的なものであるという焦り。死んでしまう前に何かやらないと。それでもダラダラ過ごす自分を肯定する。とても共感してしまいます。

このアルバムで一番好きな曲はラストナンバー「転がる岩、君に朝が降る」です。ひとりちゃんのヴォーカルがとにかく良いですね......エンジニアさんがわざと下手に(ひとりちゃんが自信なさげに歌ってるように)歌うようにディレクションしたそうですが、歌というのは、音楽というのは上手い下手じゃないよ、何を込めるかだというありがちなあれですが、でもそれは真実だと思います。とても響きます。この曲が最後に流れることにより、あぁこのアルバムは結束バンドのアルバムなんだな......という納得が訪れ、また1曲目から聴きたくなる......ひとつの曲としても、ラストナンバーとしても完璧ですね。これができるのも音楽を担当した方の作品への理解と愛が深い証拠だと思います。そんな感じで、愛が詰まった素敵すぎるアルバムでした。

一押し曲は「青春コンプレックス」「Distortion!!」「ギターと孤独と蒼い惑星」「カラカラ」「転がる岩、君に朝が降る

姫神(1982)/ 姫神せんせいしょん

姫神せんせいしょんの3rdAlbum。姫神せんせいしょんは姫神こと星吉昭さんを中心としたバンドで、1981年から1984年にかけ活動し4枚のアルバムを発表しています。

姫神せんせいしょんのアルバムの中ではこちらが一番好きですね。テクノ・ポップ的なノリの良いリズム・サウンドと日本的なメロディと節回し、幽玄さを感じる雰囲気など姫神せんせいしょんらしさが成熟しきった頃のアルバムです。

ジャケットもすごく良いんです。江戸の画家、伊藤若冲が描いた”老松白鳳図”が元ネタで、屏風から煌びやかな鳥が飛び出したような絵になっていてその美しさと日本的な感じが大好きです。

一押し曲は「舞鳥」「七時雨」「えんぶり」

 

今年の刺さったアルバムは以上です。いやー色々新たな出会いがあってよかった。特にアリプロ

 

長々と書いてるうちに年が明けてしまいました。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、2023年の抱負ですが、4つほどアルバムを出す予定です。8th,mini,アレンジ,Specialともう出すものは決めているので、あとは地道に作っていくだけです。直近では春の例大祭で”雪”と”巫女”をテーマにした東方風自作曲の8thAlbumと、ろっく!な秘封風miniAlbumを出す予定です。いや、ぼっち・ざ・ろっく!に影響された訳ではなくごにょごにょ......まぁ真面目に2年ほど前からロックな秘封風は作ろう作ろうと思っていたのですが、ぼっち・ざ・ろっく!に背中を押されてやっと作ろうと思った次第です。ありがとうぼっち・ざ・ろっく!......ギターマシマシにする予定なんですが、ギターだけは全部生でやりたいなぁと。ギターが全部生な東方風アルバム、珍しくて楽しそう。

8thの方は、東方的で姫神的で土井玄臣的なニューエイジで風景的で日本的で静謐なポップさもあるアルバムを目指して制作中です。今までで一番静かなアルバムになると思うので、そういうのが好きな人に刺さればいいなぁ。雪と巫女。いい取り合わせだと思います。

ではこの辺で。今年もがんばろー!

Rozen Maiden を読んで

Rozen Maiden を読んで

Rozen Maiden 以前から気になっていた漫画です。今年に入って愛蔵版という形で再発売されていたのを見かけ、ついに手を出してみました。

 

素晴らしかった。

 

それ以外言えない。それ以上言わない。ただいま胸にあるものを大事にして、これからの創作活動を続けていこうと思います。


......真紅萌え...です。

2022年 抱負

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

 

いやぁ年越しの時間はすっかり寝ていました。Twitterで新年の挨拶を書くのって何となく気恥ずかしいのでこちらで。

2021年の振り返りと2022年の抱負を簡単に書いてみようかなと。

 

2021年に出せたCDは「アリスマジック ~ 東の国の雨月郷」のみでした。この作品は元々夢幻雨月郷と同時に2020年秋に頒布の予定で、2021年にはアルバムは一つも出さない予定でした。代わりに本を書いたりHPを作ったりしたいなぁと考えていたのですが、本のほうは手を付けてもおらず、HPは一応作れましたがCD毎の特設サイトはまだ作れていません。うーむ。これから出すCDAlbumではXFDだけではなく特設サイトもしっかり作っていきたいと思っているので、それの練習として今まで作ってきたAlbumの特設サイトを作れればいいかなぁと。がんばります。

「アリスマジック ~ 東の国の雨月郷」のちょっとした思い出話。この作品は先人様たちが作ってきた”東方原作を遊んだ気になれるアルバム”になぞらえて作った初めてのアルバムです。一応体験版規模のものは過去に作りましたが(東方魔紺碧)フルサイズを作ったのは初めてでした。いやぁ曲数が多い多い。しかしそれだけやりがいもありました。”遊んだ気になれる”を作っていておもしろいなぁと思ったのは以下の点。

・普段の音楽CDと違って”ゲーム音楽”を明確に意識した曲が書ける

いつも作っているCDは音楽として作っているので、曲自体の魅力はどうか、聴いていて疲れないか、などを気にしながらアルバムを作っています。しかしゲーム音楽風の音楽はそれとは違い曲はゲーム(のイメージ)に奉仕するものであり曲自体の魅力というよりかはイメージ・キャラクターに合っているかを重視して作りました。またゲーム音楽、とりわけ弾幕STGの音楽は激しめで単体で聞いているとちょっと疲れてしまうようなものも多く、しかしその力強さが魅力でもあります。”音楽アルバム”として考えると聞いていて疲れてしまうのはあまりよくないですが(実際ZUNさんも秘封でのリアレンジでは基本的に耳に優しい方面でアレンジ、ミックスされています)、ゲームのサントラ風として作るならばそんなことは気にせずちょっと疲れてしまうようなハイテンションの曲が書けます。これが普段と違って面白かったですね。

・3面ボス風、Ex道中風など明確に〇面風というのが書ける

東方の音楽ではタイトル画面、一面道中、一面ボス.......とそれぞれの場面である程度特徴があります。その特徴を自分なりに解釈して作るのが面白かったですね。一面道中は最初だから印象的にいい曲を(できなかったかなぁ......)、一面ボスは軽く短くしかし魅力的に、二面道中は個人的に一番自由が利く場面でしたので、軽快な曲を書いてみました。二面ボスはあんまり強くなさそうに。三面道中は前半の山場、絶対いい曲に(うーん)。三面ボスは強者間がありこれも絶対いい曲。四面道中は体験版後に初めて来られるステージなので一面道中と同じく印象的に。四面ボスはストーリーのキーパーソンになっていることも多くキャラクターに寄り添うような形で。五面道中は終盤感のある曲を。五面ボスは怪綺談から続く伝統として変な曲を(これだいじ)。六面道中はボスに向けてさらっと、しかし雰囲気を出して。六面ボスはすべてを出し切る、しかも真面目に。Exは気持ちを切り替えてたのしげに。ExボスはEx感のあるちょっと不思議な感じ。そんなイメージで作りました。

アリスマジックの反省として圧倒的に曲作りに掛ける時間が足りなかったことによるクオリティの低下、そして各々の曲の音楽的魅力の少なさ、を自分としては感じています。アリスマジックは一応2021年の1月から3月20日まで約3ヵ月で作りました。私の普段の曲を書くペースは1ヵ月で2曲ほどなので、どれだけ少ない時間で無理やり作ったのかと......短期間でたくさんの曲を書くこと、筆の早いことはもちろん悪いことではないですが、それでクオリティが落ちてしまっては元も子もありません。10の駄作より1つの誇れる作品を、です。特に私は1つの曲をじっくりこね回してやっと雰囲気や楽曲的魅力を引き出せるタイプなので、もっと時間を掛けて作ればよかったなぁと。

でもこれは原作風を作るうえでの一つの方法論でもありました。即ちZUNさんと同じくゲーム音楽風を書くときは一つの曲に時間を掛けすぎずさらっと書く、そうしたほうが楽曲の構造が浮き彫りとなり勢いが出るかな、と。曲を作ってる方であればもしかしたら分かってもらえるかも知れませんが、曲作りやミックスというのは時間を掛ければ掛けるほどディティールに拘り過ぎて全体像が見えなくなり、作品として小さく纏まってしまうことがあるんですよね。丁寧すぎるというか。ゲーム音楽としては丁寧であるかよりも楽曲の持つメロディや進行、楽器の音色の魅力を前面に出したほうがいいのかなと。そう考えた上で短時間で作ることにしたのです。結果的には失敗でしたが。

今回の失敗で分かったのは、

人によって得意な制作方法が違うこと(時間を掛けるか掛けないか)

ゲーム音楽風の作品はやっぱりどこまで行ってもゲーム音楽ではなくゲーム音楽風の音楽であり、各々の楽曲的魅力を失ってはいけないこと

の2つです。この反省を生かして、まだ先の話になりますがまた原作風の作品を作れたらなぁと思っています。がんばります。

 

さて、2022年の抱負ですが

ズバリ、2020年以前の頃のようにたくさん作品を出しますよー、という感じです。予定では5つアルバムを出します。7th,mini,Arrange,Special,秘封風......いやぁ多い多い。作りたいものが多すぎて幸せです。これらをクオリティを損なわずに、というより今までよりもいいアルバムに出来るように頑張って作って頒布出来たらいいなぁと思っています。

そうそう、只今秋に頒布予定のSpecialAlbum第四弾のゲスト参加者さんを募集中です↓

 

twipla.jp

前回前々回と参加してくれた人、初めての人、海外の人とすでに三十数名集まっていてほんとうにありがたい限りです。まさかこんなに参加していただけるとは思ってもいませんでした......私自身どんな作品になるのか非常にわくわくしています。1月9日まで募集中なのでよろしければ。

それでは抱負はこのくらいで。

今年もがんばるぞー!

SC-88Proを修理した

数ヶ月前からSC-88Proが正常に鳴らずにノイズを吐き出す症状に悩まされていました。

例えば「ほおずきみたいに紅い魂」のmidiファイルを鳴らすとこんな感じ(音量注意です)。

 

もはや何が何やらわかりません。上から圧力をかけると治ったり治らなかったり......調子のいい時もあるので騙しだまし使っていたのですが、最近は症状がひどくなったため重い腰を上げて修理することにしました。

せっかくなので記録としてブログに残してみよう、という感じです。

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修理前のSC-88Pro



調べてみると同じ症状の方がいて半田のクラックが問題らしい、ということなので分解していきます。

まず背面のネジ3本と側面のネジ4本を外し天板をとります。

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背面のネジ4本を取る

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側面のネジ4本(左右2本ずつ)を取る

そうするとメインの基板が見えてきます。今回修理する基板は更に下にあるのでメイン基板を持ち上げます。基板を固定してるネジ3本、背面のネジを4本取ると持ち上げられます。

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メイン基板。ネジを3本外します

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背面のネジも4本外す

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下の基板(アナログ基板)が見えました

アナログ基板を見るとなんだかコンデンサが寝ちゃったりしてますが液漏れなどは見当たらなかったので今回は何もいじりません。

アナログ基板の裏側を確認するためこちらもネジを外します。基板のネジ5本と背面のネジ4本を外せば持ち上がります。メイン基板の方は外すためにハーネスを弄らないといけないのですが、線を切ったりするのが怖かったのでそのまま外さずに作業しました。

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アナログ基板。ネジを5本外します(画像だと見づらいですね...すみません(-_-;)

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背面のネジ4本を外す

そうするとアナログ基板の裏側が見えます。

半田のクラックがないか入念に確認してますが......それっぽいものは見当たりませんでした。仕方ないのでちょっと怪しいところを片っ端から半田付けし直していきます。

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アナログ基板の裏側

半田付けが終われば後は今までの手順と反対に組み上げて治ったか確認します。

 結果は.......相変わらずノイズが鳴ったり鳴らなかったり。

うーむ半田のクラックではなかったのか......?と他の原因を考えて見るともう一枚のメイン基板の半田はどうだろう、と思い当たったので確認することに。

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メイン基板の確認をします

するとなんだか怪しいところがちょこちょこ見つかったのでこちらも半田付けし直します。

 

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怪しい

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怪しそう(画質悪くてすみません)

さー次こそはと再び組み上げて確認すると.......治りました!上から圧力をかけなくても正常に鳴りますし、圧力をかけてみても少し動かしたりしても大丈夫です。

 

 

よかった、と一安心。原因はメイン基板の半田クラックだったみたいですね。

そんな感じでSC-88Proを修理してみた、でした。ハチプロにはこれまでもお世話になりましたし、これからもメインで使っていきたいので大事にします。

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動いてるSC-88Pro。かわいい

今回修理するにあたって以下のサイトを参考にさせていただきました。

 

ごはんたべよ Roland SC-88Proの修理:電解コンデンサ交換

https://www.keshikan.net/gohantabeyo/?p=1365

 

それでは。

子グマ!子グマ!

スピッツの15thAlbum「醒めない(2016)」に収められたこの曲は素直に受け取れば自分から離れていく”君”にエールを贈る”僕”の歌である。確かにそうだとわかっていても、しかし僕には現代の若者への、特にバンドマンやクリエイターに向けて書かれた歌にきこえるのだ。

 

幸せになってな ただ幸せになってな

あの日の涙が ネタになるくらいに

間違ったっていいのにほら こだわりが過ぎて

君がコケないように 僕は祈るのだ

 

”幸せになってな ただ幸せになってな”というパッセージはスピッツにしては、草野マサムネにしてはやや直線的な表現だ。それまで詩的な世界を展開していた彼は2000年に発表されたロックの名盤「ハヤブサ」以降ゴツゴツとした、男らしい言葉を使うようになる。近年では誤解を恐れずに言えばやや”クサイ”歌詞さえ見える。

子グマ!子グマ!同じアルバムに収められている「ハチの針」から引用してみよう。

 

シラフで恥を投げ捨て宣言しましょう!

そんで最低限君に届けばいいなと

だから邪魔をしたいんだったら勝手にやっとけ

しかし僕らにゃ通じないよその類のマインドゲーム

消せない胸のピースマークと夕日の色

忘れないだろうキラめいた汗と希望

 

あまりにクサイその歌詞は100%現実を伝えている。このような言葉を並べることができるようになったのはひとえにスピッツが結成から30年経ち皆大人に、というよりおじさんに(それも格好良いおじさんである)なったことの証明である。若い頃には言えなかったその恥ずかしいくらいストレートな言葉が今の彼からは何も隠すことなく直線距離で耳へと届く。音楽も言葉も年相応というものがあり、スピッツはまさにおじさんに相応しい音楽をやっている格好良いバンドマンだ。

 

話がそれちゃったな。子グマ!子グマ!、この曲の歌詞は若者へのエールに、上の年代の方からの励ましに聞こえるのだ。

 

子グマ!子グマ!荒野の子グマ

おいでおいでするやつ 構わず走れ

子グマ!子グマ逃げろよ子グマ

暗闇抜けて もう少しだ

 

おいでおいでするやつ 構わず走れ

もう少しだ。

某掲示板ログ ZUNさんの音楽関連の書き込み(前半)

Twitterで有志の方が某掲示板のログを配布していました。その内容からZUNさんの音楽関連の書き込みを拾ってみました。自分用。
Twitterに投下するには内容がアレだったのでこちら(ブログ)で。

 

 

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聴きたいCD買ってるとついそうなっちゃいますよね。てかZUNさんプロギア好きすぎ。ぼくも大好きです。今度移植版が初めて出るみたいですよ。たのしみ

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怪奇談、未使用曲ないんですね

 

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これは有名な(?)やつですね

 

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これも同じく有名な書き込みです。

稀翁玉の曲を作ってるタイミングでSD-90を購入したのでmidi版はSC-88Pro、WAV版はSD-90になっているわけですね。

 

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体験版の容量の都合上作られていたmidi版はついに文花帖以降は付かなくなってしまいました。ネットでのデータのやり取りが大容量になったからでしょうね。

 

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 趣味ならあんまり研究しないほうがいい、ちょっとわかる気がします。

 

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私も東方曲の耳コピやアレンジがしたくてDTMを始めたのに面倒でオリジナルしか書かなく(書けないく)なりました笑 よくわかります。

 

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ちなみにZUNさんが作曲を始めたのは1993年頃からみたいですよ(Witch of Love Potionの曲コメントより)。

 

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旧作のリメイクについて訊かれたとき(?)も言っていましたが創作が好きで需要があるなし(売れる売れない)はどうでもいいんでしょうね。そういう創作態度、憧れます。

 

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紅魔郷は明るいというより変です(変)。

 

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音楽は関係ありませんが。夢野久作ですね。

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手癖作曲家の所以。

 

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蓬莱人形の方がオリジナルなのは有名ですがZUNさん的にはどちらもオリジナル、という感じでしょうか。

 

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ゲーム中で聴かないと良さが半減する。まさに東方曲にも言えることだと思います。

 

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これは本当によくわかります。ジャンルなんてどうでもいいんです。ただ都合がいいから付けるだけのものですから。曲さえよければなんでもいいんです。東方風についてもそう思っています。

 

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マチュアとプロの違い。作曲はアマチュア的な方がぼくは作っていて楽しいです。

 

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妖々夢の曲についての書き込み。どこかで紅魔郷midiが先でWAV後、妖々夢は反対と書いてありましたが、本当みたいですね。

 

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ブクレシュティの人形師。格好いいよね。アリスは哀しくそして勇ましく。

 

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ゲームミュージックについて。

 

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曲名は、そうですよね。

 

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音楽は関係ありませんが2002年の冬コミのときの頒布数についての書き込み。1000部頒布するなんて本当に当時から大人気だったんですね。我楽多叢誌でのインタビューで言ってましたがこの時から(妖々夢の時から)原作の頒布数は変わらないそうです。

 

長くなったので前半と後半で別けますよ。

音楽という情報

音楽を聴くとき、音楽を聴いているというより音楽に付随する情報を聴いているような気になることがよくある。それは自分に対してだけではなく、多くの人に対しても。

音楽の内容は音である(とする)。現代の音楽は一般的に曲名というものがつく。またいずれかのジャンルに分類される。作曲者、編曲者もしっかりわかる。それらは音楽の内容ではなく言うならばパッケージである。曲名は音楽の内容ではない。しかし、例えば「雨」という曲があったとして、聴く人は音を聴く前から雨を想像したりする(させられる)。雨だったらこういう音だろうな、こういう空気感だろうな、と思いつつ聴いてみるとやっぱりそうだ、これは雨をよく表しているとか、いやこれは雨なのだろうか......とか思ったりする。

またジャンルというのもそれでRockって書いてあるのにRockっぽくない!とかJazzなのにJazzっぽくない!とかそういう経験は稀にある。曲を探す時お気に入りの作曲者編曲者(同人で言えばサークル)で探すのは普通にやる。

別にこれらの行動が問題とは思わないし、問題だとしても回避することは殆ど不可能に思える。それらの情報は探すまでもなく与えられるものだから。

でも、「あの作曲者の曲だから聴こう。いい曲なんだろうな」とか「こういう曲名だからこういう曲なんだろうな」とか、そういうのは先入観として音楽に対しても働いてしまっている気がする。要するに音楽以外のものが音楽に作用している、音楽になってしまっているのではないかという疑問、というか違和感で。

音楽の内容は音である、というのは違うのでは?曲名も音楽の内容と言えるのでは?と考えることもできる。しかしもし曲名が音楽の内容足り得るとしてそれならば曲名だけの音楽も存在して良いはずである。しかし曲名だけのものは音楽とは言わない。こんなことを言うと「ジョン・ケージの4分云々を知らないな」と言われちゃいそうだが、あれは無音という音楽である。曲名はTxtファイル、ジョン・ケージ4分33秒は4分ちょっとの無音のWAVファイルと考えることもできる。txtファイルを指して音楽という人は恐らくいない。

(↑ここら辺あとで読み返してみたらすごく頭悪そうな感じですが、消すのもあれなのでそのままで......別に曲名が音楽の内容足り得るとしても曲名だけで音楽として成立する必要はないような気がします)

 

なんだろう、纏まらないですね。お風呂で考えてしまったので文章化してみましたが、考えというのは浮かんだ時が一番言いたいことの的を射ている結晶化されたもので、あとで復元しようとしてもノイズが混じってしまう気がします。ノイズばかりの文章ですみません。

曲名やジャンル、作曲者という情報はいらない、用語的に言えば絶対音楽的価値観は標題音楽よりも尊いものである、というのが僕の考えなのですが、しかし頭ではそう思っていても好みとして曲名を考えたり曲名から想像したりするのが好きなんです。頭で考えることと好みが違う、というねじれから生ずる矛盾が自分の行動に多分に見られるので、自分はダメな人間だなぁと思ったりします。